こんにちは、所長です。
今回冬休みの最後として、真空引きをしてUDのカーボンの板を作る作業をしました。
以前、秋田県産業技術センターに見学に行って見たことを思い出して作業をしま した。
まず、10mmの2017アルミ板にカーボンを貼ります(金属板には離型処理をしておきます)。
貼るカーボンは、25cm四方に切った繊維が一方向のUD20枚と、平織り2枚です。
白い保護台紙からカーボンをはがして一枚ずつアルミ板に貼り、青色の保護フィルムをはがしとります。
台紙と保護フィルムはすぐに捨てずに、後で枚数を数えます。
カーボンは貼るときに、繊維の向きを0°、45°、90°、 135°…というように変えて貼ります。
20枚貼ったUDの上に平織りクロスを片側に2枚貼ります。
カーボンを貼り終わったらもうひとつのアルミ板でサンドイッチします。
平織りを張ったのはできあがりの違いを確認するためです。
10mmのアルミでサンドするのは、前回UDが焼き上がると反り返ることがわかったので厚めの板で押さえるためです。
アルミ板を少し暖めておいた方が密着して張れそうでした。
UDの位相を均一にすればそりが少ないこともわかりました。
次にブリーザーとバキュームの作業です。
パッグフィルムの中には色々と入れるものがあるので、順番を間違えないように注意です。
下からバッグフィルム、ブリーザークロス、リリースフィルム、アルミ板、カーボン積層、アルミ板、リリースフィルム、ブリーザークロス、バッグフィルム、というように重ねます。
バッグフィルムを閉じる作業では、シーラントテープというものを使います。
ガムのようなねばねばしたテープで、パッグに一度着いたらはがせないので慎重に貼ります。
パッグの縁にテープを貼り、パッグが袋状になるように閉じます。
このときパッグとテープの間にすき間があると真空引きするときに失敗するので、パックをピンと張っ て、テープを強く押し付けながら貼ります。
パッグを密閉する前に、バキュームバルブを取り付けます。
私たちが使ったものはパーツが少なく取り付けが簡単でした。
パック内の空気を確実に抜くために、カーボンのところからブリーザークロスをしき、その上にバルブがきます。
バルブの位置が決まったら、そこに小さめの穴をあけ、バルブを取り付けます。
このときもすき間があると失敗するので、パックをピンと張りながら取り付けます。
全体的にすき間がないかどうか確認して、パックの作業は終わりです。
窯での作業は、今までの作業がうまくいったかがカギです。
真空引き用ホースをバルブに繋いで真空引きをします。
このときどこかにすき間があるとうまくいきません。
私たちが前回実験したときも一発で成功とはならず、どこかから空気がもれていました。
一般に怪しいのはシーラントテープかバルブですが、今回はバッグとチューブの間でした。
チューブは、結構深くまで入れなければなりませんでした。
空気が抜けなくなったら温度を少しずつ上げていきます。
温度が上がるとパックが柔らかくなり、真空引きをしてもカーボンへの圧力が弱くなります。
加圧式のオートクレーブがないので、私たちは、カーボンを挟み込んでいるアルミ板をクランプで挟ん で、圧力の低下を防ぎました。
130℃で2時間加熱して、一晩冷却しました。
次の日に結果を見ました。
板の出来はよく、成功したと言えました。
カーボンホイールとして使用したいと思います。
[カーボン板の情報]
UD20ply、クロス2ply
面積 25×25(c)
厚さ 5.4(mm)
重さ 510(g)